10月半ばから11月にかけて、タイ中部が大規模な洪水に見舞われ、連日メディアでその被害状況が報道されました。ボートに愛犬を乗せ、自身は首まで水につかって立ち泳ぎしながら避難する人。腰まで水につかりながら、たくましく屋台を営業する店主。それらの映像はショッキングで、「これではしばらくタイに旅行できない」と多くの人が感じたのではないでしょうか。
でも、本当のところはどうなんだろう。どこもかしこも冠水しているんだろうか。
実際の状況を見ずに自粛するのでは、タイ好きの名がすたるではありませんか。
というわけで、日本からメディアおよび旅行業関係者を対象とした「ビューティフル・タイランド」取材・視察団に参加。タイの現状を見たレポートをお届けします。

午後3時半過ぎ、タイ国際航空の福岡空港発649便でバンコクに到着。車に乗り込み、バンコク中心街のホテルへ向かいました。車窓から見えるバンコクの風景は、拍子抜けするほど普段通り。車で混み合う大通り、歩道で湯気を上げる屋台、タイ人や観光客の雑踏。洪水前と何ら変わらない、活気にあふれた600万都市・バンコクがそこにありました。
旅行者にとって、一番気になるのは何と言っても衛生状態。
これについては、洪水後のWHOの調査によりバンコクの水道水は飲料可能との見解が出されています。さらに、日本の専門家が行った浄水場調査でも安全が確認されました。
これを機に、バンコクの日本人学校が再開。それに伴い、11月16日には大使館から出される危険情報も一番レベルの低い「十分注意してください」に引き下げられています。<WHOほか共同声明>
今日は洪水被害を受けたバンコク都内のその後を探ります。
まず足を運んだのは、中国系タイ人が多く住む中華街(チャイナタウン)。彼らは富の象徴として金(GOLD)を崇拝しています。ラマ5世時代に8年がかりで作ったという、龍の形をした全長1㎞のヤワラート通りには、いくつもの銀行ならぬ「金行」が。毎日レートが変わるため、朝から24金を求める人がチェックに訪れます。
次に向かったのは、ワット・プラ・ケオ(王宮寺院)。
洪水の時は、入口まで水が迫って来たものの、内部に浸入することはなかったそうです。
バンコク観光のメインスポットであるこの寺院には、いつものように世界中から多くの観光客が訪れていました。
デパートやホテル、映画館などが一体となったショッピングの複合施設、セントラルワールドを訪ねました。洪水で一部の水やビールの輸送に影響が出たものの、現在は回復。
11月は日本はじめアジアからの観光客が一時的に減ったそうですが、すでに客足は戻っており、多くの買物客で賑わっていました。
早朝にバンコクを出て、遺跡のレンガ色と地面を埋め尽くす緑、空の青のコントラストが心に染み入るタイ中部の古都、アユタヤへ。バンコクから約80㎞。途中、国内LCC便専用のドンムアン空港付近では一部冠水した道路も見られましたが、交通に支障が出るほどではなく車の動きはスムーズ。アユタヤに近づくと、帝人やHOYAなど日本の企業も多く進出しているバンパイン工業団地が見えてきました。
今年はアユタヤの遺跡群がユネスコの世界遺産に登録されて20周年。
その記念すべき年に洪水被害を被ったのは皮肉な話ではありますが、現在どの程度の修復が必要なのか、ユネスコと共同で調査が行われています。
チャオプラヤ川沿いの遺跡、ワット・チャイワッタナラームは敷地全体に浸水。緑の芝が生い茂っていた地面には泥がたまり、枯れ果ててしまっています。現在も、一部で排水作業中でした。
アユタヤに名物スイーツがあるのをご存知ですか。
それは、絹糸のように細く伸ばした繊維状の砂糖を薄焼きの皮で巻いて食べるお菓子です。
その作り方はまさに名人芸の域。もちもちサクッとした食感で甘すぎず、ほんのり香ばしい。やみつきになる美味しさです。アユタヤの町中にはローティーサイマイの店が数多くあり、それぞれの人が贔屓の店を持っています。地元の人に人気の店「ローティーアビディーン」を覗いてみました。
午後から、視察旅行の参加者全員で、「ウイ・ラブ・アユタヤ ~ 日本人村ビッグ・クリーニング・デー」と題して、日本人町跡(日本人村)をクリーンアップ。ここは、16世紀の初めに御朱印船貿易に携わった日本人たちが築き、最盛期には2000~3000人が住んだ歴史ある場所で、山田長政が町長を務めていた時期もあります。